カシオUSBラベルプリンターKL− E11の無電源化
(ACアダプターを省略する)
2001年1月15日更新

(注意!この改造によってKL-E11本体またはUSBケーブルで接続される PC本体を破壊する危険があります。また、ニッケル水素電池は充電・放電の条件によって強アルカリ性液体の液漏れまたは爆発の危険があります。当然このよ うな改造を行った機器およびこのような改造が原因で発生した故障に対しメーカーの保証は無効になります。もし、このページを参考にして改造等をする場合は すべて自己責任において行ってください。)

PCで編集した文字をUSB接続でカシオネームランドのラベルに印刷できるプリンターが昨年暮れ頃から秋葉の店頭 に並び始めた。ラベルプリンター付きマウスとか、たまごプリンターなどと一緒に11月ころから販売されている。写真のKL−E11だけがこの三種類のなか で唯一光沢のある普通のラベルテープに印刷できる。他の二種類は感熱紙になっていて簡易型のラベルプリンターという感じだ。KL−E11は本格的なラベル プリンターということもあってケースや中の構造も一般の事務製品と比べても遜色はないが、USB製品の大きな特徴である「USBから電源の供給」ができな いので、ACアダプターを使うことになる。いまどき、USBハードディスクだってACアダプターなしで動くのに、このラベルプリンターじゃ本当のモバイ ラーになれない。

KL−E11のデジタル回路はUSB供給の5Vで動作し、駆動系とプリンタヘッドのヒータはACアダプタに頼って いるようだ。ACアダプターの仕様は12V1Aとなっている。ACアダプターの+側がつながるところにUSBケーブルから来る電源の5Vを直接つないで見 たが、かすかに「カッ」という音がして何も動かなかった。5Vでは電圧が足りないようなのでUSBケーブルから来る5Vに単四電池を2本直列につないで約 8Vにしたら、少々力不足な感じだったがちゃんとプリントできた。

単四電池2本分の電圧をどこかで作って8V以上の電気を駆動部に供給できれば「本物のモバイラーラベルプリン ター」に変身することは分かったが単四電池より小さい電池をKL−E11のケースのスキ間に仕込んで、電池が無くなったら分解して電池交換というのでは自 己完結型USB機器とは言えなくなってしまう。USBバスパワーの5Vから8V以上の電圧を作るためにはDC-DCコンバータを中に仕込んで必要な電圧を 駆動部に供給できる。が、駆動部のモータが回って熱転写ヘッドが動作している時は1A近くの電流が流れているようだ。1A流せるDC-DCコンバータの大 きさはタバコケース大になってしまう。もともとUSBバスパワーから供給できる電流は数百mAが限度で8Vx1A近くの電力を作るには非力すぎる。

エコ自動車のプリウスのように動力の要らない時は充電して必要な時に充電した電気を大量に放出する方法がある。ラ ベルプリンターのように編集やPCでほかの事をやっている時は充電し、プリントする時だけ充電した電気で駆動部を動かせば小さい容量のニッケル水素電池で もうまくいく。これこそエコロジーの鏡である。超小型のDC-DCコンバータユニットと006Pタイプのニッケル水素電池でKL-E11をプリウス的エコ ロジーUSB機器に変身させることが出来る。

DCコンは千石電商で入手したIN5−12V、OUT5V300mAの超小型ユニットでKL-E11のケースの側 面内部のスキ間にぴったり収まった。

電池は9V006P型ニッケル水素充電池をバラし熱収縮チューブで1セルごとに絶縁しKL-E11のケース内部の 側面に3個、プリント基板の下に4個の合計7セルで約9Vになる。USB電源が抜けている時にニッケル水素電池が漏れ電流で放電しないようミニチュアリ レーでニッケル水素電池を回路から切り離す。

回路はいたって簡単である。USBバスパワーの5VとDCコンの5Vを直列につないで10Vを作る。逆流防止の整 流用ダイオードと電流制限抵抗の10Ωを通ったニッケル水素電池から来る電流はUSBバスパワーがオンの時はリレーの接点がニッケル水素電池につながり ニッケル水素電池を充電する。駆動部が動作する時はニッケル水素電池から駆動部へ電流が流れる。この電流制限抵抗の10ΩはDCコンからニッケル水素電池 に十分な充電電流が流れるように実験で決めた値だ。ニッケル水素電池がへたっている時は0.1Cの標準充電電流より大きくなるが電流制限をする回路が複雑 になるのでこの回路で妥協することにした。

KL-E11はACアダプターの呪縛から解放され、本格モバイル&エコロジーUSB機器に変身した。電車の中で、喫茶店で、公園のベンチで手軽にラベルを プリントできる。(使わないって!)

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2017年撮影 その後電池が横付けになりました。




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